【コラム】 版権とぱちんこ(前編) / ぱちんこ開発者の独り言

●版権とぱちんこ(前編)

今ではぱちんこに版権をのせて機種開発をすることが当たり前の昨今であり、タイアップ無しでぱちんこ開発は避けて通れなくなっている。

そもそも、遊技機初のタイアップ機は、1992年にSANKYOから発売された「オロチョンパU」で、河内家菊水丸とタイアップした羽モノだったのは有名な話であるが、当時はタイアップ関係なく機械を開発製造していた時代でもあった。

タイアップ機が脚光を浴び始めたのは、1996年に行き過ぎた射幸性を抑えるために確率変動の回数を5回までと自主的に規制した「5回リミッター」時代であろう。この年の内規で、大当り確率は下限を1/360までとし、CR機の時短や確変2回ループなども合わせて規制するといったもので、今でも業界人の間ではぱちんこの暗黒時代とも呼ばれている。

この時代は、スペックで変化の付けようがなかった時代のため、各メーカーが液晶演出に目を向け始めた年でもあるのだが、その中の一つが版権タイアップ機の開発であったのは間違いないだろう。

その証拠に、その1・2年前までは海物語の前身である「ギンギラパラダイス」や、「大工の源さん」「モンスターハウス」など魅力的なスペックを併せ持ったノンタイアップの名機が沢山リリースされているが、5回リミッター規制後は徐々にタイアップ機が脚光を浴びてくる。

その代表格ともいえる機械は、1998年に発売された「ルパン三世」であろう。誰もが耳なじみのあるBGMに、特徴的なSE、お馴染みのキャラクターなど、新たなぱちんこを切り開いたといっても過言ではなく、ぱちんこは終わったとも呼ばれた時代において大ヒットと飛ばしたため、各メーカーは版権タイアップ機に将来性を感じ、次第にぱちんこは版権に傾倒していくこととなる。

次に大きな転換期となるのは、2004年に発売された「新世紀エヴァンゲリオン」であろう。元々、アニメ好きの間では有名なアニメであったが、「CR新世紀エヴァンゲリオン」の大ヒットが要因の一つとなり版権がリブレイクし、エヴァンゲリオン新劇場版が作られることになった大きな要因であるのは事実であろう。

ここで、世の中でいわれるぱちんこマネーにて新アニメが製作されると揶揄されることがあるが、その部分についてのお金の流れなどについて簡単にではあるが説明をしたいと思う。

ぱちんこメーカーが、とある版権を使用し遊技機開発を行う場合には、版権元に版権使用に基づく版権料を支払うのが一般的である。多くの方が、この版権料が次回アニメ制作につぎ込まれることになる、と思っているが、そうでない場合はいくつかある。

例えば、別途、版権元から次回作アニメの協賛金や、製作委員会への参加を求められる場合がある。酷い場合は、続編等への協賛金が無い場合は、次機種以降は協力できないと暗に言ってくる版権元も少なくない。

また、製作委員会への出資額は一番大きいが、後方支援的な側面が強く、ヒットした場合の還元が少なく、一番の出資者にもかかわらず、ヒエラルキーが最も低い場合も少なからずある。(タイアップさせてやってるから、文句いうなということでしょう)

その他にも、版権元指定でアニメ製作会社を指定されることも多い。ようは、本製作アニメと同じアニメ制作会社じゃないとNGといったことなのであるが、酷い場合だと、この本製作アニメ会社は、進行中のテレビアニメシリーズを最優先で動くため、遊技機アニメはスケジュールが大幅に遅延することも少なくない。

もっと酷い場合は、本製作アニメ会社から下請けや外注に発注され、本製作アニメ会社に発注しているはずなのに、アニメクオリティが守られない場合がある。
当然のことながら、版権元からアニメリテイクの修正依頼がくる。
同じアニメ会社に発注している話なのに理不尽な話である。

このように、版権料だけではなく、協賛金やぱちんこ液晶素材をアニメ会社に発注するなどして、アニメ製作の上流から下流までにお金が行きわたり、結果として上質なアニメが製作できる環境をぱちんこマネーが一部負担しているという事実があるのである。

次回は、メーカー側の版権選定の裏側や、その費用などについても言及していきたい。