1台40万円が普通になったぱちんこ機について(前編)

1台40万円が普通になったぱちんこ機について(前編)

1台当たり40万円も普通になったぱちんこ機。様々なギミックが搭載されているとはいえ、「ぼったくりではないか」「遊技機以外の民間企業であれば、その半額で作れるのではないか」という噂がまことしやかに流れることもある。
結論からいえば「答えはモノによる」としか言いようがない。

そもそも、ぱちんこ機は液晶映像や玉の払い出しなどを司るプログラムなどに掛かる開発費(イニシャル費)と、遊技機本体や液晶パネル、基板、役物(ギミック)などの材料費の2種類に分類される。その他には、版権費や版権元への各種協賛金、保通協への申請費用、特許使用料や販促費用、代行店などによる販売手数料など、プロジェクトによって違いはあれ、細かい出費が山のようにあり、それらは全てプロジェクト毎に計算するのが一般的だ。

遊技機メーカーは、通常2年前後の期間を経て1つの機械を作り上げる。中には、版権取得や版元確認だけで数か月消費するのもざらにあり、保通協への申請も苦戦することがあるため、スタートの企画立案から機械販売が終了する、全てにおいてスケジュール通りに進行することは稀であり、下手すれば年単位でのスケジュール変更は間々行われている。

基本的に、遊技機メーカーは開発した機械を販売することで利益を確保するしかなく、他の業種業態を見ても、ここまで開発期間が長いにも関わらず、販売の「旬」が、ほんの一瞬で通り過ぎる業界は他に例がないであろう。

面白いヒット機種が開発できれば再販に次ぐ再販などもあり得るが、ほとんどの機械が一度、ホール設置開始日を決めたら、そこまでに販売を終了させなければならず、設置開始日を超えても売れる機械は、昨今の遊技市場においては非常に稀である。

機種開発に携わる全ての開発者は、自分の開発機種が少しでも面白くなるように心血を注いでいる。
自分の担当機種が会社から期待されている、されていないというのは兎も角、面白くない機械を作ってやろう。と思って開発している人間は一人もいないことは申し伝えておく。しかしながら、設置開始日がある種の賞味期限になっている点(稼働等が芳しくなく、追加受注が来ない)に関しては不徳の致すところだ。

話は少しそれたが、企業として売上が立つまでに持ち出しが非常に多いところが遊技機メーカーの肝であるのは間違いない。上場している遊技機メーカーの決算を見ても、四半期で売り上げがゼロというのも往々にしてある。
こんなこと(3カ月もの間、売り上げが0円)は、他業種、もっといえば、数百億円から数千億円を売り上げる企業ではあり得ないレベルの話である。

遊技機メーカーは好決算のように見えても、株価が反映されないことがよくあり、逆に少しでもマイナスの決算になると、大幅に株価が下がるといったことが良くある。それだけ、遊技機メーカーというのは、リスクが高い商売であるのは間違いがない。

当然のことながら、リスクが高い分だけリターンは大きい。10万台以上販売しても、2,000台しか販売できなくても、開発費と固定費は程度の差こそあれ、最低限必要なコストだからだ。
あとは材料費の違いしかない。そのため、材料費という観点でみれば、民間企業であれば、大量発注大量生産のやり方で大幅にコストをカットすることは可能であるが、販売予定台数が競合他社によって大きく変わることが多く販売台数が縮小している昨今の遊技機市場においては、通用しないであろう。

また、設置開始1ヵ月半前ぐらいまでには発表するのが一般的であり、1ヵ月半の間に、発表を行い、全国のホールへの営業、契約などを済ませた上で、製造し納品までを行うため、材料発注などにもリスクが付きまとう。
作ったのは良いが、売れなければ材料費だけではなく、製造コスト含め、丸損だからだ。

次回コラムでは、上記の遊技機メーカーのリスクを踏まえた上で、開発費、材料費などに切り込んでいきたいと思う。