名古屋・熱田の格安ゲーセン、愛され30年余


一九八〇〜九〇年代に製造されたテレビゲーム機を中心に営業するレトロなゲームセンターが名古屋市熱田区三本松町にある。八〇年ごろオープンした「UFO M1」。通信式の対戦が可能な新型機が主流となる中で、修理を重ねて大事に使い続ける。一回の料金は主に二十円から五十円。経営は厳しいが、小銭を握り締めて集まる「おじさんファン」たちに愛されている。



 看板の色あせた「新型登場」の文字はオープン当時のまま。九十台ほどのゲーム機の画面には「スペースインベーダー」や「パックマン」「ドンキーコングジュニア」「テトリス」など往年のヒット作が映し出される。九〇年代に一大ブームになった格闘ゲーム「ストリートファイター2」や、プロ野球ゲームに至っては九二年開幕版が今も現役だ。


 開店当初は喫茶店で、「ブロック崩し」が爆発的にヒットして「ゲームセンター」という業態が姿を見せ始めたころ。「床を張り替えたぐらいで、あとは当時と何も変わりません。時代に乗り遅れたというか…」。社長の池田忠一さん(84)とともに開店当初から店に立つ鶴見在明(ありあき)さん(57)は苦笑いする。



鶴見さんは、父親と池田さんが知人だった縁で手伝うようになった。大学の理工学部を卒業し、一時はゲームソフト開発会社を経営した経歴も。だから古くなったゲーム機の修理はお手の物だ。「ブラウン管が壊れたり、操作ボタンの調子が悪くなったり。毎日、大忙しです」


 来店客は三十〜五十代の男性が中心で若い客はまばら。仕事帰りに通う常連男性(40)は「最近のゲームは操作が複雑でついていけない。ここは落ち着く」と話す。「新型のゲームは高度化し、設置費がかさむ。うちのような店はここ十年でほとんど店を畳んでしまった」と鶴見さん。

 もうけが出ないのに格安料金で営業を続けるのは、子どものような目でゲーム機にかじり付くファンのため。鶴見さんは「ゲームは“懐メロ”と同じ。生粋のゲーム好きが童心に帰ることができる場所を一日も長く残したい」と話している。