東北電力値上げ、生活は経営は… 重い負担、県内も直撃

東北電力の家庭向け電気料金の値上げが6日、経済産業相から認可された。県内の一般消費者からは家計の負担が増えることへの不満が漏れ、企業向け料金も引き上げられることを受け、企業からは収益低下や景気への影響を懸念する声が相次いだ。

 標準家庭の月額電気料金の値上げ額は約330円。「値上げは仕方ないと思うが、毎日使用するだけに家計への影響が不安」と話すのは庄内町余目、主婦佐々木圭子さん(48)。家庭内でも今後の節電対策が話題になっているという。

 高畠町阿久津、自営業古川和夫さん(69)は「照明など店舗で使う電力量は多いとはいえないが、商品の価格に転嫁できないので、負担増は経営面にも響く。節電には取り組んでいるが、できることには限りがあり困っている」と不安そうに話す。

 県消費生活団体連絡協議会の松岡由美子会長は「円安による輸入価格の上昇で生活必需品の値上げが続くだけに、家庭生活への影響は計り知れない。火力発電の燃料費がかさむ中で致し方ない面はあるが、(東北電力)社内でのコスト削減は十分だったのかという思いは残る」と不満ものぞかせた。

 家庭向けの値上げに連動して引き上げられる企業向け料金の値上げ幅は平均15.24%。例えば契約電力1千キロワット、月間使用電力量32万キロワット時の高圧電力を使用している工場では、これまで月519万7千円だった料金が、約73万円増の593万円となり、大きな負担がのしかかる。

 精密部品製造などのエムテックスマツムラ(天童市)では年間数千万円程度のコスト増を見込む。「これまで可能な限りの節電に取り組んできただけに、これ以上の節電はなかなか厳しい」と担当者。今後は費用対効果を検討した上で、投資を伴う省エネ対策を考えていくという。

 パチンコ店などを展開するマルヰアミューズメント(山形市)の電気代増加分も2千万円以上。「サービス業だけに商品への価格転嫁もできない。来年の消費税増税も予定されている中での電気料金値上げは死活問題。どう内部で吸収すればいいのか…」と深刻だ。都市部ではアベノミクス効果の恩恵が表れているが、地方への波及はまだ見えない。所得も上がっていない状況で公共料金が大幅値上げされれば消費や景気に悪影響が出ると懸念した上で「行政主導で何らかの対策を講じてもらわないと地方経済は回らなくなる」と訴える。

 スーパーのヤマザワ(山形市)の担当者は「年間2億円程度のコスト増を吸収するには相当な自助努力が必要」と頭を抱える。既にLEDや太陽光発電装置などの導入も進めているが「今後は初期投資費用はかかってもさらに省エネや節電の取り組みを進めていく必要がある」と話す。自動車部品製造などのサンリット工業(長井市)は「覚悟していたこと」と冷静に受け止め「これまで以上に従業員への意識付けを徹底していくしかない」。

 製品の値上げや海外への事業シフトを検討する企業も出ている。村山地方のある部品製造企業は「節電ではこれ以上削れない。事業存続できるかの瀬戸際で、もう値上げするしかない」。製品の値上げで国内販売が不振に陥れば、海外にある工場へのシフトも検討するといい「国内でものづくりがしたいが仕方がない」とあきらめ顔だ。