異業種から学ぶサービスの質向上

元禄バブルがはじけ、享保の改革が行われた頃、商家の間では、家訓ブームが起こったとされている。また、それに倣ったわけではないだろうが、現代でも理念や教育といった本質が見直されている。

 ぱちんこ大手の新卒採用が本格化して約20年。現在では本部長、部長といった幹部クラスに、新卒採用から生え抜きの人材が登用されているケースも多い。一方で、新規出店も予定通り進まないという企業がある。そうなると、必然的に店長、副店長といった現場の幹部ポストが足りないという状況も生じてくる。

 生き残りをかけ、あるいは活性化を狙いとして、各社さまざまな取り組みが行われているが、その内容はオーソドックスな教育体系の整備から、オリジナリティーのあるものまで千差万別だ。

 初夏の候、越後湯沢の旅館「HATAGO 井仙」を舞台に研修が行われたが、そこにぱちんこ運営企業が10人以上参加していた。

 井仙は「現代に旅籠(はたご)があったら」というコンセプトで作られた旅館で、広域連携や地元食材を生かしたダブルネームでの商品開発など、地域はもとより観光業界の注目度も高い。旅館甲子園(主催・全旅連青年部)の2013年決勝進出企業でもあり、参加者は異業種から吸収できることはないかと臨んだ。


サービス体験やマネジメント講義、運営の裏側の視察やディスカッションなどを通じて、最終的には現場で使える知識として落とし込むのが狙い。ディスカッションでは、やはり旅館とぱちんことの共通点、異なる点などが挙がる。共通点は顧客接点や店舗を舞台にしたサービスとして(比較対照はアマゾンといった店舗無しのサービス)、顧客が五感で体感できること、顧客接点での重点ポイントがあること、マルチタスクの重要性等が挙げられた。

 顧客の遊技目的という来店動機から、教育が業績に及ぼす影響は小さいかもしれない。しかしながら、市場の凋落(ちょうらく)傾向にあらがうように、現場の人的サービス、商品管理、環境整備などの質の向上に真摯(しんし)に取り組み始めている企業は少なくない。