パチンコ出店妨害で国分寺市に3億円超の賠償命令

パチンコ出店予定地の隣地に市立図書館を開設したのは出店阻止のためであり、営業権利の侵害だ――。浜松市の企業などが東京都国分寺市を相手取って、約14億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地方裁判所(志田原信三裁判長)は同市の行為の違法性を認めた。2013年7月19日の判決では、約3億3400万円の支払いを命じている。


 判決によると、パチンコなどアミューズメント事業を手掛ける浜友観光(浜松市)は2006年7月、パチンコ店を出店する目的で、国分寺市駅北口近くの2階建の建物を借りた。その後、国分寺市が建物の隣接地に市立図書館分館の設置を決定。同年12月に市立図書館条例を一部改正して、2007年2月に分館を開設した。



東京都では風営法の委任条例によって、商業地域の場合、学校や図書館などの周囲50m未満の範囲でのパチンコ店の営業を認めていない。このため、浜友観光は出店は無理と判断した。同社および建物所有者の島田商事は、東京簡易裁判所での調停を経た2008年9月、市に対する損害賠償請求を東京地裁に提訴した。


 裁判では、国分寺市が意図的にパチンコ店の出店を妨害したかどうかが争点となった。同市は、「図書館の設置は以前からのまちづくり構想に基づくもので、出店阻止が目的ではない。条例改正時点でパチンコ店の開業準備はできておらず、逸失利益について損害賠償責任を負うことはない」と主張した。


 しかし判決は、同市の行為を「原告らの営業上の権利を侵害するものであり、社会的相当性を逸脱する」と認定。浜友観光に対して3年分の逸失利益として約2億4772万円を、島田商事に対して5年分の逸失利益として8690万円をそれぞれ賠償するように市に命じた。


 この判決に対して、国分寺市は控訴する方針だ。一方、原告代理人の山崎俊和弁護士は、「今はコメントを差し控えたい」と話した。

■市長答弁を受け議会が推進

 図書館設置を主導したのは市議会だ。2006年11月からの市議会で、星野信夫市長(当時)が「図書館に対しての市民要望が高いことから、分館設置を検討中だ。近隣のパチンコ店の出店も阻止できる」と答弁。これを受けて議員提案で、分館設置に必要となる市立図書館条例の改正を議会にかけ、全員一致で可決した経緯がある。


 パチンコ店が出店を予定していた敷地は、国分寺市が進める第1種市街地再開発事業の対象区域に含まれる。


 同市は2012年3月にこの敷地を取得し、現在、建物は取り壊されている。隣接する図書館分館も再開発事業の進捗に伴い、2013年5月に区域外に移転した。