維新が提出した「カジノ法案」、地元関西経済界の動向は?


長年にわたり論議が続いていたカジノ解禁について、最近動きが活発化してきました。6月7日に「日本維新の会」が、カジノを含む統合型リゾート(IR)の推進を目指したいわゆる「カジノ法案」を衆院に提出したのです。維新の会は大阪を拠点としており、大阪市長の橋下徹共同代表もIRに積極的です。しかし、おひざ元の関西経済界は積極派、慎重派に分かれ、足並みはそろっていません。

 カジノ解禁の動きは、日本維新の会の石原慎太郎・共同代表が東京都知事時代に、お台場へのカジノ構想を示すなど一時盛り上がりを見せましたが、日本では博打(とばく)のイメージが根強く、なかなか具体化していないのが現状でした。

 しかし最近、シンガポールでマリーナ・ベイ・サンズ(MBS)などのリゾートホテルが、カジノを導入して米ラスベガス並みに成功した例が出ており、カジノ単体ではなく統合型リゾートとして地域活性化につなげる施策が注目を集めてきたのです。

 IR整備を目指す超党派の「国際観光産業振興議員連盟(IR議連、通称・カジノ議連)」は社民党、共産党を除く議員が参加しており、安倍晋三首相も最高顧問を務めています。こちらもカジノ法案を議員立法として秋の臨時国会に提出する動きもあり、実現への動きが具体化してきました。6月11日には政府の観光立国推進閣僚会議が、カジノとは明記していないものの「IR(統合型リゾート)推進法案制定を進める」としたアクション・プログラムを取りまとめています。

法案提出で一歩先んじた形だが

 法案提出で一歩先んじた形の維新の会ですが、関西経済界の反応はさまざまです。

 関西経済同友会は昨年、大阪湾岸の舞洲(大阪市此花区)に2か所のカジノやホテルなどで構成する統合型リゾート「KIR」の建設実現を提言しており、カジノ推進には積極的な立場。「民主党政権ではなかなか進まなかったが、新しい動きが出てきた。大阪の魅力を生かすため、機を逃さないようにさらに研究したい」としています。

 一方、関西経済連合会は「仮に基本法が制定されても、さらに施行されるには4、5年単位の時間がかかる。もう少し検討していけばよいのでは」とじっくり構えています。経営者の中にも世代によってカジノに対する反応はさまざまあるようで、このあたりの調整が必要という見方もあるようです。

 大阪商工会議所の尾崎裕副会頭(大阪ガス社長)は3月の副会頭就任会見で、「胴元がもうかるビジネス。観光につながる一方で、陰の部分もある」と発言。カジノのプラスマイナスをもっと見極める必要があると慎重な姿勢を示しました。

 これら関西主要3経済団体はカジノを含めたIRについて連携する動きは「まだ具体化していない」としています。

「一体化して誘致」という機運はない

 また、関西7府県が参加する関西広域連合(連合長・井戸敏三兵庫県知事)が1月に開いた経済界の意見交換会では、松井一郎・大阪府知事(日本維新の会幹事長)がカジノ推進に理解を求めましたが、井戸知事が「広域連合としては取り組まない」と発言するなど、関西が一体化してカジノを誘致しようという機運にはなっていません。

 国際カジノ研究所の木曽崇所長は「(維新の会の)カジノ法案提出は、大阪カジノのプロモーションのための提出と言って良いでしょう。大阪カジノ構想のライバルとなるのは東京ですが、東京では猪瀬直樹都知事のリーダーシップの下、東京のグローバル化、都市機能の24時間化など様々なプロジェクトと重なり合いながら、カジノ構想が語られ始めています。以前のように、カジノ誘致と言えば大阪というほどの圧倒的な認知度は、現在の大阪構想になくなってきているのは事実」と指摘しています。

 カジノ法案が具体化した場合、関西だけでなく、東京、沖縄なども候補にあがるとみられますが、誘致を進める場合、地元政財界がどれだけ一体化して進められるかもポイントになっていきそうです。