パチンコ業界のカモ「オカルト攻略信者」とは……

「リーチもかからないから、この台は大ハマリするかも……」
「1000回もハマッているなら、そろそろ爆発するんじゃ……」
「この出目は大当たり(or大ハマリ)のサインだ!」

 パチンコファンなら、誰もが考え、感じ、思ったことがあるはずだ。もちろん、完全確率で大当たりが抽選されている現代のパチンコにおいては“ない”。だが、それでもファンは目に見えないパチンコ台の裏に潜む神秘的な“法則”や“サイン”に思いを馳せる。そして、驚くべきはこうしたオカルト的な発想、思考を持つのはファンだけではない。ホール、そしてメーカー関係者も真面目にオカルト的な考えを持っているのである。

 今回は、両氏に本書を製作するに至った思いを語ってもらった。

担当編集(以下、担当):これまでお二人で出された『パチンコがなくなる日』や『石原慎太郎はなぜパチンコを嫌うのか』といった本は、業界の話、特に裏話が多かったように思えます。

大崎一万発:オカルトの本を出したい、オカルトに対して正面から攻めた本を作りたいね、みたいな話をなんとなくしてたんですよ。そこで業界側とオカルトの関わりも含めて書きたいというPOKKAさんの意見があった。

POKKA吉田:去年の夏くらいから話を進めて、二転三転して話がまとまったのが年末年始かな。パチンコにはオカルトで向き合ってる人が多いし、オカルトが生まれる理由もパチンコの仕組みの中にはあるワケだし、それにパチンコ屋もメーカーも悪ノリしてる現状がある。オカルトが蔓延するとパチンコ屋は儲かるじゃないですか。オカルトネタで打ってる人は、千円で10回しか回らなくても打つ。オカルト信じてない人はそんな店には行かない。だからそういうオカルトファンを馬鹿にしつつも許容、利用してるんですよね、業界が。

担当:最初はそういったオカルトな方々をバッサリ叩こうとも話してましたね。

大崎一万発:でも、段々とアホくさ! みたいな感じになってね。じゃあどうしたらいいかって考えたときに、ファン雑誌の一部がオカルトは攻略法じゃないよと言ってきた歴史はあるんだけど、業界サイド、つまり業界の構造や台の仕組みを正しく知る側がオカルトは違いますって書いた本は今までなかったよねって。POKKAさんに書いてもらう意味はそこにあるんじゃないかと。ファン雑誌、プレイヤー側でいくら騒いでも、説得力には限界がある。『いやいや、お前がなんでそんなこと知ってんの?』って。かといってメーカー側が、オカルトはないよって積極アナウンスすることも、先にPOKKAさんが言ったように利用してる側面があるわけだから、期待はできない。その狭間を突いてうまいこと儲けてるのはいったい誰か? って、“この人”やろって(笑)。

担当:“あの人”の話は後ほどゆっくりと(苦笑)。担当としては、ホール関係者が信じているオカルトの話がとても面白かったと思います。

POKKA吉田:パチンコ屋って遊技機の技術的な知識を基本持っていない。ユーザーとそんなに目線が変われへん(笑)。それにビジネスが乗っかってきてるだけの話なんですよ。メーカーはオカルトに悪ノリするんやけど、パチンコ屋はファンと一緒にオカルターになってたりする(笑)。パチンコ業界とオカルトは、切っても切り離せない構造と言ってもいい。今回の本は、ユーザーだけじゃなく、メーカー、ホールも含めて、業界とオカルトが今までどう絡んできたのかみたいな構成になっているから、昔からそういうパチンコのオカルトを追ってる人には面白い内容になっていると思う。


◆谷村ひとしとオカルト

大崎一万発:担当くんも言ってたけど、我々の共通認識としてはオカルト自体は全然悪くないやんって。何を考えて打とうが自由だし、誰にも止められるものじゃない。

POKKA吉田:オカルトへの愛はあるけど、オカルトを利用して金儲けする人に対して愛はない。だから、少なくとも俺は谷村ひとしへの愛はない(笑)。要はオカルトでバカなこと言ってるけど、それでパチンコが面白いならええやんって読む人が解釈できるようには書いた。ただ谷村ひとしはパチンコAKB48でもおかしなこと言ってるよとか、彼に関する一般には知られていない、面白いエピソードを入れたりとかはしましたね。

大崎一万発:「谷村ひとし」ってググってみると、予測検索のトップに「嘘」って出るんです。それだけ、おかしいよねって感じてる人がいるってこと。このマンガの何号のどこが間違ってる、変だって検証した掲示板やサイトがたくさんあるんですよ。それを見て、うわ、細かいな! って(笑)。揚げ足取りは一般の人がすでにやってくれてるわけで、同じことを我々がやってもしゃあないって。だから一点突破で。すごく大事なところ間違えてるよと。これ、どう説明するのと。そこを知ればこの人のことはわかるでしょって。

POKKA吉田:まぁ、谷村ネタを否定するには谷村ネタを知らないといけないんですけど、僕が谷村の書いたものを買ったりするわけがない(笑)。だから担当さんにいろいろ資料集めてもらったわけですが、読み込む必要もなかった(笑)。ただその結果、担当くんが一時谷村ワールドにどっぷり浸かって……。

担当:読んでるうちに「こういう考え方も、意外とアリなんじゃねえのかな……」とか思えてくるんですよ(笑)。都合百冊ぐらい読んだんです。するとシンパシーを感じて、だんだんオカルトで当たるんじゃないかって思えてくるんですよね。冷静になって思い返すと、こういう考えに読者をさせてしまう、これこそが谷村ひとしの一番“悪い”とこじゃないかと(苦笑)。

POKKA吉田:その時点で担当さんからは「こういう人、こういう考え方もアリなんじゃないか……みたいな落としどころにしませんか」みたいな話があって、それを俺なりに咀嚼した記述にしたの。だから普通に見たら俺が谷村を全否定してる記述なんですけど、オカルト、谷村ひとしに執着してる人が読むと少しは認めてるのかと誤解させるような、微妙な感じ(笑)。

大崎一万発:それこそ揚げ足を取って、谷村ひとしをこてんぱんにやっつけてくれるっていう期待感で読むと、あれ?ってなる可能性もゼロではないかな(笑)。

担当:真剣にプロレスやってる人にお前それプロレスじゃねえかっていうのはすごい無粋なことなんじゃないかとも一瞬思ったんですよ。ただ明らかにやってることがプロレスなのに、総合格闘技のことをバカにする言い方をするのはいかがなものかと。

大崎一万発:谷村さんはタイミングを逸しちゃったのかなって。ドンキホーテの時代は、たぶんすごく打ち込んでただろうし、本当にデータに基づいた説得力のある説もあったかもしれない。でも人気漫画家になって、打つ時間は取れないけどオカルトを言い続けるのが「仕事」になって。で、そのうちパチンコの仕組み、大当たり抽選の仕組みを知ってしまって、あ!違ってたって気づいたんだけど後戻りできないという(笑)。勝手な想像ですけど、ちょっと同情してしまいますね(笑)。