関係の困窮:生活支援の現場から 第2部/2

 「ギャンブル依存症は病気」に驚き 仲間の励まし支えに

「みんなに嘘(うそ)をつきました。すみません」。県内であったギャンブル依存症の自助グループ「ギャンブラーズ・アノニマス」(GA)熊本グループの定期会合で、広田浩二(34)=仮名=は他のメンバーに深々と頭を下げた。前週の会合で、その数日前にパチンコ店に行ったことを隠し「ギャンブルがしたい気持ちを抑えた」と話していたからだ。

 欲望に負けた自分を恥ずかしく思い、本当のことを言えなかった。だが、後悔にさいなまれ告白した。メンバーたちからは意外な言葉が返ってきた。

 「よくあることだよ」「俺なんかパチンコをした後、会合に来たよ」。救われた気持ちになり「また負けそうになったら、仲間のことを思い出そう」と誓った。

 パチスロにのめり込んで借金を作り、無断欠勤で会社も解雇され、母親からも見捨てられた広田だが、常に「ギャンブルをやめたい」と悩んでいた。以前、勤めていたパチンコ店の先輩社員に相談したこともあったが「お前の心が弱かったい」と一笑され、それから誰にも悩みを打ち明けられなくなった。

 ホームレスとなり、熊本市内の神社の床下で野宿をしていた時、市巡回指導員にホームレス支援団体「くまもと支援の会」を紹介された。会のスタッフに付き添われ精神科病院へ。ギャンブル依存症と診断され、約2カ月入院することになった。「体に目立った症状はないのに、ギャンブルがやめたくてもやめられないこと自体が病気だと知って驚いた」と振り返る。

 GA熊本グループに参加したのも医師の勧めだった。そこで自分の体験を話すことになったが、もともと人と話すことが苦手で最初はしどろもどろ。それでもメンバーは黙って聞いてくれる。自身の体験に基づきギャンブルがしたい気持ちの和らげ方を助言してくれたり、励ましてくれた。雑談する仲間も増え、気持ちが楽になった。

 グループの50代男性は言う。「どのメンバーもギャンブルのため自信を失い、誰にも相談できず孤立していた。仲間と出会い、励まし合う中で『ギャンブルより仲間と一緒にいる方が楽しい』と思えるようになった。GAに参加したことは我々にとって幸運だった」

依存症の治療を続ける広田の願いは、絶縁状態になった母親との関係修復だ。今も時々欲望に負けそうになるが、会合で過去の自分を見つめ直し、依存症への理解も深まるにつれ、人生を大切にしたいと強く思うようになった。「昔のように母と会話したい。そのためにも治療を続けた後、就職して一人前になりたい」