防犯カメラ:北九州市が190台設置 早期検挙に効果

北九州市が3月から繁華街や幹線道路に独自に設置した防犯カメラが、事件の検挙に徐々に効果を上げ始めている。指定暴力団工藤会の本部があり、全国的にも際立った監視体制を敷く市の試み。6月2日に発生したパチンコ店従業員への切りつけ事件でも男の行動を鮮明に捉え、逮捕につなげた。設置の動きは県内各地の繁華街にも広がりを見せるが、識者は「個人のプライバシー配慮と、徹底した管理、運用の透明性の確保が必要」と指摘する。

 パチンコ店従業員2人が切りつけられた殺人未遂事件は2日朝、北九州市小倉北区のJR小倉駅近くの繁華街で発生した。大型ナイフを持った男が2人にいきなり襲いかかったが、道路に設置された市の防犯カメラは一部始終を撮影していた。

 発生から約1時間半後、県警はこの映像などを手がかりに現場から約6キロ離れた自宅にいた男(45)を殺人未遂容疑で緊急逮捕した。北橋健治市長は5日の定例記者会見で「(市提供の映像が)早期検挙につながった」と強調。捜査関係者も「まるで映画のようにはっきり映っていた。重要な手がかりになる」と振り返った。

 他にも防犯カメラは事件の検挙に一定の成果を挙げている。県警によると、酔って道端に寝ていた男性が不審な男に財布を抜き取られる場面が撮影されており、男の逮捕につながったこともある。

 同市では昨夏以降、暴力団関係者によるとみられる民間人への切りつけや店への不審火などが相次いで発生。このため市は、福岡県条例で定めた暴力団排除の対象地区の繁華街や幹線道路に防犯カメラ158台を設置し、3月29日から運用を始めた。これに県警分を合わせると、行政の防犯カメラは計190台。これは北九州市(人口97万人)と同規模の千葉市32台、仙台市0台を大幅に上回っている。今後、同じく暴力団排除の対象地区のある福岡や久留米、大牟田、飯塚の各市でも新設・増設を進める方針だ。

 とはいえ、犯罪抑止や検挙にどれだけ効果があったのか確かめる手段は限られ、防犯カメラの存在を不快に感じる人も少なくない。