三朝温泉の遊技場復活

三朝町の三朝温泉街に、スマートボールや射的などが楽しめる遊技場が改装オープンし、観光客から「昭和レトロな雰囲気が懐かしい」と好評だ。遊技場を運営する三朝温泉旅館協同組合によると、かつては各地の温泉街に同様の遊技場があったが、次第に姿を消し、今では珍しいという。(野口英彦)




 三朝温泉には1950年代から射的などが楽しめる遊技場があり、最盛期の70年代には3軒が営業していた。しかし、娯楽の多様化や宿泊客の減少から、廃業する店が相次ぎ、「温泉本通り」の入り口に最後まで残っていた遊技場も2011年4月に店を閉じた。

 しかし、遊技場がなくなったことで、宿泊客から「通りが暗くて寂しい」といった声が旅館などに寄せられるようになった。このため、同組合が温泉街に活気を取り戻そうと、施設や遊具を所有者から借り受けて再開することにした。

 昨年秋から約60万円をかけて老朽化していた天井を張り替え、エアコンを新設して、5月29日に再オープンした。店名は以前の店「泉娯楽場」の名前を引き継いだ。

 65平方メートルの店内には、スマートボール22台とパチンコ台16台、射的用のカウンターがある。スマートボールは、パチンコ台を横に倒したような台で、ピンボールのように玉をはじき、数字が書かれた穴に玉が入ると数字の分だけの玉がもらえる仕組み。ただ、50年代の古い機械のため、穴に入っても玉が出なかったり、数字通りに出なかったりすることがあるといい、機械には「大変気まぐれで、笑ってこらえて(許して)ください」と書いた紙が貼ってある。

 パチンコ台は、手動のレバーで玉を1個ずつ打つ方式で、現代の機種のような派手な液晶画面などはないが、静かにのんびりと楽しめるのが魅力。射的は、バネ仕掛けの銃から直径1センチのコルクの弾を発射し、約1メートル離れた壁際に置かれた高さ5〜10センチの人形や置物を狙う。

 昭和レトロな雰囲気を演出しようと、壁には町内の収集家の協力を得て、「ゴジラ」や「黄金バット」などの映画のポスターを展示。ほかにも、店内には美空ひばりらの有名人が三朝温泉を訪れた際の写真も飾った。

 同組合は「採算は度外視して、夜の温泉街を明るくにぎやかにしたい」との思いから再オープンしたが、初の週末となる今月1日には50人以上が訪れるなど予想以上の反響。今後は各旅館で遊技場の優待券を配布するなどしてPRに努めるという。

 三朝温泉は、戦後の高度経済成長を背景に、歓楽街を持つ温泉地として栄えたが、宿泊者数は1996年をピークに減少が続いている。同組合事務局の篠原浩さん(46)は「昔ながらの温泉情緒が楽しめる遊技場が、温泉街ににぎわいを取り戻すきっかけになれば」と期待を寄せている。

     

 スマートボール、パチンコ、射的はいずれも1回500円。営業時間は午後3〜10時で不定休。問い合わせは同組合事務局(0858・43・0431)へ。