ダイナム、首位マルハンに純益で互角

昨年8月に、パチンコホール運営企業としては初の株式上場を香港証券取引所で果たして話題を呼んだ、業界2位のダイナムジャパンホールディングス(以下、ダイナム)。

パチンコホール業界は不況知らずで稼いでいるというイメージが強い反面、過去20年近くにわたって30兆円市場から20兆円市場まで縮小するなど右肩下がりの産業であることも確か。その中でダイナムはどのような業績を上げているのか。

同社は5月29日、香港上場後では初となる本決算(速報値)を発表した。それによると、前2013年3月期(IFRS=国際会計基準ベース)は、売上高(遊技業収入)が前期比0.7%減の1639億円と小幅減収で着地したものの、営業利益は同13%増の342億円、純益は同32%増の209億円と、利益面では大幅増益を達成した。


・純益では同業最大手マルハンを僅差で上回る

純益209億円は、パチンコホール運営最大手であるマルハン(未上場)の前期純益203億円を上回る。ちなみに前々期の12年3月期の純益は、ダイナムが158億円、マルハンが248億円であり、僅差ながら逆転したことになる。

国内証券取引所に上場している企業と比べても、直近決算期で純益200億円前後は、京成電鉄(219億円)、アコム(208億円)、楽天(194億円)、野村不動産ホールディングス(193億円)などに匹敵。最新上場企業純益ランキングに当てはめると、全3500社強ある国内上場企業の中で170位前後の水準となる。

ダイナムは店舗数ではパチンコホール業界でトップ。売上高のベースとなる店舗数は3月末で362店を数え、1年間で7店の純増となった。パチンコ・パチスロ機の総設置台数では、同じく3月末で16万1542台となり、1年間で4356台が純増した。

ちなみに、同業最大手のマルハンは3月末の店舗数が286店、パチンコ・パチスロ機の総設置台数が19万0082台であり、店舗数ではダイナムが上回るが、総設置台数ではマルハンが上回る形になっている。

「1円貸玉」で単価下げるが、コスト削減効く

店舗数、総設置台数とも増えたのに、ダイナムの13年3月期が減収となった理由は、業界に先駆けて進めてきたパチンコの低貸玉機やパチスロの低貸メダル機のウエイトが前期よりさらに高まったうえ、従来機の売り上げが伸び悩んだためとみられる。パチンコ業界では従来、1個4円で玉を借りる4円貸玉が一般的だったが、近年、1個1円など低料金で借りられる低貸玉機で集客を高める流れが強まっている。

にもかかわらず、ダイナムが営業利益をはじめ、利益面では増益を確保できたのは、ローコスト経営を徹底したことによるもの。13年3月期の場合、前期比では機械入替費で19億円、広告宣伝費で11億円、人件費で5億円をそれぞれ削減し、その他経費削減を合わせると店舗営業費用全体では48億円をカットすることができた。

機械入替費が削減できたのは、 パチンコ、パチスロともリユース(再使用)比率を積極的に高め、新台購入を極力抑えたことが大きい。新台はまず都市部などの一番館に導入した後、それを二番館、三番館へと順繰りにリユースしていき、一番館にはつねに新機種を入れていく。店舗数の多さゆえに、ダイナムではこうしたリユース比率の拡大戦略を採りやすい面がある。また、広告宣伝費については、警察庁による広告規制徹底化の影響がケガの功名となり、結果的にコスト削減につながったようだ。

・売り上げはなぜマルハンの10分の1以下?

直近の2013年3月期決算で、純益では同業首位のマルハンに僅差の逆転を果たしたダイナムだが、売上高(遊技場収入)ではマルハンの2兆1368億円に対して、ダイナムは1639億円と、ケタ違いでの大差をつけられた格好となっている。

これはもっぱら、会計基準としてマルハンが日本基準を採用しているのに対し、ダイナムは香港証券取引所の上場規則にのっとり、IFRS(国際会計基準)で決算書を作成しているためだ。IFRS基準によれば、パチンコホール業界の遊技業収入は、貸玉収入から景品出庫額を差し引いたものになる。ダイナムの場合、直近決算期の貸玉収入は9291億円で、景品出庫額は7651億円のため、差し引き1639億円が遊技場収入になる。