中国政府、汚職取り締まりの一環でマカオに対する監視強化

中国の習近平指導部が汚職や腐敗の取り締まり強化を最優先課題として進めるなか、中国政府は、世界最大級のカジノを抱えるマカオの代表部トップに「厳しい警官」との評判を持つ高官を送り込もうとしている。

 香港で数々の問題に対処してきた李剛氏は、年内には、中国政府のマカオ代表部、連絡弁公室(中連弁)のトップに就く見通し。

 また、マカオの中連弁は、カジノ運営業者やジャンケットオペレーターと呼ばれる、ハイローラー(カジノで大金を賭ける客)への融資・集金を手掛ける中間業者との連携を深めている。

 こうした動きは、中国本土の政府官僚がマネーロンダリング(資金洗浄)や賭博を行っているとされるマカオに対して、中国政府が監視を一段と強めようとしていることを示している。

 あるカジノ業界幹部は、利益のあがるマカオのギャンブル業界への取り締まり強化というりむしろ、ターゲットとなっているのは、他の事業に投資できただろう公共資金や資産をギャンブルに使い込んでいる政府官僚だ、と指摘する。

 中国農業銀行<1288.HK><601288.SS>幹部Yang Kun氏は、マカオのカジノに30億元(4億9000万ドル)の借金があるとされている。また、昨年失脚した元重慶市トップの薄煕来氏がマカオで資金洗浄を行ったとの地元メディアの報道もある。

 あるカジノの幹部は「中国はより積極的な役割を担いつつある。中国政府は資源が無駄に使われることを懸念している」とし「中国政府にとり問題なのはギャンブルに投じられる資金というより、無駄にされるビジネスや工場だろう」と語った。

 マカオの譚伯源(フランシス・タム)経済財政長官は、ギャンブル業界に対する厳しい監視を行う方針を示している。マカオ当局によると、昨年マカオにおける疑わしい資金の流れは約20%増加し1840件に達した。うち、70%以上はギャンブル関連の資金取引という。

 李剛氏氏は、12月にマカオ中連弁の副主任に就いた。年内には、退任を控えた現主任の後任になるとみられている。

 地元メディアによると、同氏は、この汚職対策は、単にギャンブル業界への監視強化というより、習近平国家主席が掲げる汚職撲滅の取り組みの一環、と述べた。

 マカオは中国で唯一、カジノが合法化されている地域で、マカオを訪れる人の3分の2以上は中国本土から来る。毎月のカジノ関連の収入は、ラスベガスの年間収入の半分以上に達する。中連弁の当局者は「中国政府は常にマカオの発展に焦点を当て、注力している」と語った。

 昨年の12月には、マカオの「ジャンケットオペレーター」の最初の団体が設立された。設立のために開かれた夕食会には、カジノ運営業者、中連弁当局者、マカオ規制当局が参加。香港紙によると、団体のトップGuo Zhizhongは「ジャンケット・オペレーターの団体は、社会の安定および経済発展に尽力し、マカオを国際都市にするため努力する」と述べた。

 違法な資金取引取り締まるマカオの金融情報当局のディレクター、Deborah Ng氏は、政府高官が賭博を行っている場合にそれを見つけるための管理体制がカジノ運営業者には整っているとし「改善がみられる。今行っていることが完全にリスクを回避するとは言えないが、改善していることは確かだ」と語った。