兵庫のギャンブル浪費通報条例 生活保護対策 川崎市は否定的


生活保護受給者がギャンブルで浪費するのを見たら情報提供するよう市民に求める兵庫県小野市の条例が注目を集めている。同市によれば全国から賛同の手紙などが多数寄せられ、他自治体へ導入を望む声もあるが、川崎市生活保護・自立支援室の相沢照代担当課長は「現場としては苦しい制度だ」と否定的だ。(山本哲正)


 支援室によると、条例のない今も市民から「受給者がギャンブルに浪費している」との情報が時折寄せられ、関心は高い。パチンコ店に加え競輪場、競馬場がある川崎市で条例ができると通報の増加が予想される。


 生活保護の受給は「最上級の個人情報」(相沢課長)。だから、市区の窓口は受給者であろうがなかろうが、通報内容を「そうですか」とあいまいに受けざるを得ないが、「通報者に『やはり、あの人は受給者なんだ』と誤解を招くケースも出てくる」と相沢課長は心配する。


 また、受給により生活を不特定多数の市民に見られると思うことで、保護の必要な人が申請できず、生存権保障が機能しなくなる恐れもあるという。


 市内の受給者約三万人の中で、就労可能とされる年齢層は約一万人。うち働きながらも低収入で受給する人が半数で、残る無職の約五千人には病気などで外に出られない人もいる。


 市民には、昼間からギャンブルをする人を「働かずに…」と受給者に結び付ける傾向もあるが、仮に病気などを除いた無職の人全員がギャンブルに出掛けたとしても、「皆さんの目にする人数には追いつかないのでは」と相沢課長。ギャンブル自体に否定的な市民もいるが、四十一〜五十九歳で食費、水光熱費を含めて支給される生活費は約八万円で、その範囲で楽しめる人は「のめり込む」状態にない、とする。


 ギャンブルで生活費がなくなった場合は、分割支給に切り替えたり、お米を先に買わせたり、生活指導をしている。依存症治療を指導するケースもあるという。