桑名の乳児放置死:男児車内放置死、虐待リスク軽視 県検証委最終報告、児相の対応批判 /三重

桑名市のパチンコ店駐車場で昨年8月、生後5カ月の男児が母親(45)に乗用車内に放置されて死亡した保護責任者遺棄致死事件で、県の第三者検証委員会(委員長・村瀬勝彦弁護士)は19日、最終報告書を鈴木英敬知事に提出した。北勢児童相談所をはじめとする関係機関が、母親が産後うつ病で養育困難な状態と知りながら、虐待死が起きるリスクを低く見積もっていたことを指摘した。【大野友嘉子】

 母親は昨年8月16日午後、乳児院から一時外泊中の男児を、市内のパチンコ店駐車場に止めた車内に約2時間半放置し、窒息死させた。検証委員会によると、母親は出産直後から「育児ができない」などと周囲に話し、3カ月後には重度の産後うつ病と診断された。6月29日に乳児院に入所した男児は、8月12日から事件が起きた16日まで外泊許可が出ていた。

 検証委員会は、5月に家族が養育相談を桑名市にしていることを北勢児相が知った時点で「虐待に近い事例と判断すべきだった」と指摘。しかし児相は、虐待死リスクの一般的認識に欠け、母親との面会を一度しか行わなかったと批判した。

 また、各機関の連携不足、主体性の欠如も指摘した。北勢児相、乳児院、桑名保健福祉事務所などが母親の病状などを知りながら、病気の経過などの情報を共有しておらず、他機関が対応していると相互に思い込んでいたと分析。主体的なリスク査定や、家族の支援をしなかったとした。

 一方、一時外泊許可の判断については、一定の基準を設けるべきだと提言した。今回、児相が一時外泊許可に制限を設けず、保護者の要望があれば、その都度判断する方針を取っていたことも問題視した。

 村瀬委員長は「関係機関の認識に温度差、情報量に差があり、お互いが指示待ち状態だったのではないか」と話した。