ユニバーサル、2500万ドルがFBI捜査の焦点に

[東京/マニラ 17日 ロイター] ユニバーサルエンターテインメント<6425.OS>からフィリピンのカジノ規制当局首脳の側近に巨額資金が流出した問題で、賄賂の疑いを調べている米国とフィリピンの捜査当局の焦点が、同社がマニラのカジノ用地の取引をめぐって支払った2500万ドルに絞られていることが、ロイターの取材で明らかになった。

同社はカジノ用地を購入した際に取得し損ねた一部土地の開発権を確保するため、2010年にこの側近に資金を支払ったものの、残された記録によると、実際は09年に無償で開発権を得ていた。

ユニバーサルはロイターの取材に対し、支払う必要のない資金であったことを認めた。

<無償で開発権「知らなかった」>

ロイターはユニバーサルに対し、土地の開発権を無償で取得できたにもかかわらず、フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)会長の側近で、同社がマニラで進めるカジノ計画のコンサルタントだったロドルフォ・ソリアーノ氏に2500万ドルを支払った理由について質問状を送付。同社は16日、支払いを決定した2009年当時、すでに開発権を無償で取得していたことを知らなかったと回答した。支払いを元従業員3人の責任とした上で、そのうちの1人が経営陣から情報を隠していたために、送金を防げなかったと主張した。

ユニバーサルは昨年、ソリアーノ氏に許可なく1500万ドルを送金したとして、この元従業員3人を訴えている。今回新たに主張した2500万ドルの支払いに対する3人の責任については、ロイターへの回答書の中で証拠を示しておらず、調査中としている。

元従業員らはロイターの取材にコメントを拒否。3人は1500万ドルの支払いについて、会社側の主張に異議を唱えて争っている。

同社が娯楽関連事業の免許を持つ米ネバダ州の規制当局もこの2500万ドルに注目しており、関係者によると、岡田和生会長と取締役3人を呼んで米国時間3月13─15日に行った聴取でも焦点の1つになったという。ユニバーサルはこの聴取の直後にロイターの質問に回答してきた。

<法律で解決できる問題、金銭は必要なかった>

ユニバーサルは08年、マニラ湾の埋立地にカジノリゾート用地約40ヘクタールを買収。その後に13区画、計10ヘクタールを取得し損ねていたことが判明した。この土地は、もともと道路建設用に確保され、地元の不動産開発会社のアジアワールド社が保有していた。

関係者によると、ユニバーサルはカジノ計画を進めるため、PAGCORのヘニュイーノ会長(当時)に相談。同公社の弁護士が解決に乗り出し、09年11月、道路用地の地権者アジアワールドと、カジノ用地を保有するユニバーサルの現地子会社イーグルワン、土地を管理するパラニャケ市の間で土地問題解決に向けた合意文書が交わされた。

合意内容は、ユニバーサルが自己負担でカジノ用地内に道路など10ヘクタール分の公共スペースを建設してパラニャケ市に寄付すれば、用地内の区画を自由に開発できるようにする一方、アジアワールドは道路の所有権をパラニャケ市に移譲するというもの。フィリピンには、道路用地や公園用地などは公共の土地として自治体に寄付することを義務付けた大統領令がある。

アジアワールドにとっては、道路を建設して市に寄付する義務を負わずに済む利点があった。

ロイターが入手した合意文書には金銭のやり取りを示す記述はない。

米連邦捜査局(FBI)とフィリピンの国家警察捜査局(NBI)は、合意に関連してユニバーサルが資金を支払ったことを示す書類がないことに注目。ソリアーノ氏に2500万ドルの巨額資金を支払う必要があったのか疑問視している。

合意文書に署名したパラニャケ市のフロレンシオ・バナベ市長はロイターの取材に対し、今年1月にFBIの捜査員が訪れ、合意内容と関連書類について質問されたことを明らかにした。

一方、アジアワールドの弁護士アルセル・フェティザナン氏は当時について、同社には道路の建設資金がなかったため、所有権を移譲することに異存はなかったと語る。道路用地に対する税を支払わずに済むようになった点も指摘し、「我々には歓迎すべきことだった」とした上で、「単純な取引だった。お金は絡んでいない」と話す。

FBIはコメントを拒否し、捜査が行われているかどうかも明らかにしなかった。フィリピンのライラ・デリマ司法相は、NBIの捜査が継続していることは認めたものの、詳細についてはコメントを避けた。

<大証も質問状、回答期限は3月18日>

ユニバーサルは当初、ソリアーノ氏の会社に対する支払いを3500万ドルと計上していた。ロイターの取材によると、ソリアーノ氏からの請求書と関連の契約書には、2800万ドルが道路解決費用、700万ドルがコンサルタント料とある。

しかし今年2月、同社は過去の会計処理を訂正し、フィリピンに支払った資金のうち1000万ドルが同社に還流していたと発表した。これに関連して土地問題の解決費用2800万ドルを、2500万ドルに減額したうえで、フィリピン事業に関連した固定資産として計上した。2500万ドルは社内の正式な意思決定のある支払いとしていた。

これまでのロイターなどの報道を受けて設置された同社の第三者委員会は、2500万ドルは機関決定を経ており「不透明さは存在していないとの報告を受けている」とする一方、金額の妥当性などについては評価を見送っている。

2500万ドルを支払う必要はなかったと認めたことで、同社は再び会計処理の訂正を迫られる可能性がある。関係者によると、ユニバーサルが上場する大阪証券取引所も2500万ドルの支出の妥当性を同社に問い合わせている。3月18日が大証への回答期限だという。

ユニバーサルはロイターに対する回答書の中で、ソリアーノ氏に支払った2500万ドルの使途は調査中と説明している。「現時点で、(フィリピンの)政府関係者に渡ったという情報はない」という。

ユニバーサルは昨年末、資金問題を報じたロイターを提訴したと発表した。また、これまでにフィリピンの事業について「法令を順守する体制で遂行している」とコメントしている。

ソリアーノ氏は所在不明でコメントを得られていない。PAGCORは土地取引への関与についてコメントを拒否した。