米当局がユニバーサル会長を聴取へ、フィリピン資金疑惑めぐり

[東京/サンフランシスコ 30日 ロイター] ユニバーサルエンターテインメント<6425.OS>の関連会社からフィリピンのカジノ当局首脳の側近に資金が流れていた問題で、米カジノ規制当局が岡田和生会長の聴取に向けて動いていることが、ロイターの取材で明らかになった。

 これまでのロイターの取材で、フィリピン側に渡った資金の総額は4000万ドルに上ることが分かっているが、このほどマニラで開かれた議会の公聴会で、ユニバーサルは1000万ドルが同社に返還されていたことを認めた。側近側に送金された金額は3000万ドルになり、米カジノ規制当局はこの資金の流れに関心を寄せている。

 米国のカジノ事業を監督するネバダ州カジノ規制委員会(NGB)は今年8月までに調査を始めた。NGBのA.G.バーネット委員長はロイターの取材に対し「調査は今も続けている。真っ最中だ」と話した。バーネット委員長は今後の調査予定などに言及しなかったものの、事情に詳しい複数の関係者によると、NGBは、ユニバーサルの岡田会長を参考人として呼び、事情聴取をする見込みだという。

 聴取は3人の委員が非公開で行い、正式な審理を行うかどうか決める。関係者によると、これまでのところユニバーサルは調査に協力的。「(岡田氏が)どんな説明をするのか興味深い」と、関係者は話す。

 ロイターの取材によると、フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)のヘニュイーノ会長(当時)の側近で、公社のコンサルタントを務めていたロドルフォ・ソリアーノ氏に流れたのは総額4000万ドル。ユニバーサルの米国子会社アルゼUSAからユニバーサル社員名義の香港企業「フューチャー・フォーチュン」を経由し、3500万ドルがタックスヘイブン(租税回避地)として有名な英領バージン諸島に登記され、ソリアーノ氏が経営する会社「スービック・レジャー・マネジメント」に支払われた。残りの500万ドルは香港に登記され、同じくソリアーノ氏が経営する会社「ピープルズ・テクノロジー」に送られている。NGBは、スービック社に送金された資金に特に関心を寄せているという。

 4000万ドルのうち1000万ドルは会計的な理由からすぐにユニバーサルに還流したため、ソリアーノ氏には3000万ドルが渡ったことになる。同氏が受け取った資金の使途は明らかになっていない。

 資金が流れた2010年前半は、マニラ湾沿岸で計画していた巨大カジノをめぐり、ユニバーサルがフィリピン政府に税の減免や外資規制の緩和を要望していた時期と重なる。ソリアーノ氏は、フィリピンの政官財の各界に人脈を持ち、フィリピンのアロヨ前大統領の夫と関係が深かった。PAGCOR会長とも親しく、同氏の「私設秘書」としても知られていた。

 複数の関係者によると、ユニバーサルが同氏に支払った資金は、社内の会議で、カジノ実現に向けた問題を解決する「成功報酬」と説明されていた。税の減免により、プロジェクトの利益率が向上することに加え、100%持分によって利益の総取りを期待していた、と関係者は話している。

 2010年3月にアロヨ政権から法人税の免除を認められたユニバーサルは、23.5%の賭博税を払うだけで済むようになった。同社は同年8月にPAGCORに行ったプレゼンテーションの中で、フィリピンのカジノは年間6億ドルのキャッシュを生み、利益率は業界最高水準の35%に上ると説明。また、2011年9月に行ったアナリスト向け説明会では、比較的低い税率と賃金のおかげで、マカオのカジノよりも収益性が高いとしていた。

 ユニバーサルの資金問題をめぐっては、NGBに加え、フィリピン政府も本格的な調査を開始。11月28日に議会で公聴会が開かれ、ユニバーサルのカジノ計画の代理人弁護士は、ユニバーサルの現地企業で、プロジェクトを推進しているタイガー・グループはソリアーノ氏に対する支払いを認識していないと証言。タイガーの現地責任者は、1000万ドルがスービック・レジャーに支払われ、その日のうちに小切手でユニバーサルに返金されたと述べた。

 ロイターは代理人弁護士の荒井裕樹氏を通じてユニバーサルにコメントを求めたが、現時点で得られてない。米当局が調査に乗り出したことを報じた前回の記事に対しては「現在係争中の案件であるため調査に数週間要することから現時点でのコメントはできない」としていた。ソリアーノ氏のコメントも得られていない。

 これまでにユニバーサルは、総額1500万ドルを許可なく海外送金したとして、元社員らを東京地裁に訴えている。