パチンコ店を救急ステーションに

2004年7月に一般市民の使用が認められたことから、その設置率が飛躍的に高まりを見せるAED(自動体外式除細動器)。公共施設やスーパーなどとともに、パチンコホールへの設置も進んでいる。

 設置については、企業が導入するスタイルが大半だが、組合やその支部で一斉導入されるケースもあり、遊技業界を挙げて設置が推進されている。

 大衆娯楽としてのパチンコの在り方が問われている昨今、パチンコホールとして自らの役割、存在意義を考えた場合、地域共生という視点はことさら重要になってくる。街や地域に娯楽を提供する場であることはもとより、交通至便な立地というポテンシャルを考えれば、パチンコホールが“在ること”で果たせる役割は少なくない。

 学校などの公共施設とは異なり、パチンコホールは大半が交通至便な場所にある。なおかつ午前10時から午後11時まで営業している。朝早くから夜遅くまで機能する街・地域の救急ステーションとして、地域の人々に利用してもらえる環境を整えることは、地に足のついた真の地域社会貢献ともいえるだろう。

 また、高齢者客が多い実情を考えれば、その設置はさらに意味を増してくる。

 関西のある地方都市の駅前に立地する高齢者の多いパチンコホールでは、スタッフに救急救命講習を受けることを推奨している。家族が安心して「遊びにいってきてくださいね」といえる環境はどのようなものか。どんなサービスを提供すれば、そう言ってもらえるか。地域密着型の大きくはない店舗だが、経営者が率先して講習を受け、スタッフに提案したと聞く。


このような例は、企業規模を問わず散見され、アルバイトを含む全員が救急救命講習を受けているパチンコホールもある。

 さらに実際の使用例を見ると、05年7月に東京都の武蔵村山市にある「トワーズ武蔵村山店」で遊技中に倒れた男性客が、普通救命講習を受講していた店長の救命活動により一命を取り留めた。この活動に対しては東京消防庁総監感謝状が贈られたが、一般使用が許可された翌年に、既にAEDを導入している企業姿勢も評価されるところだろう。

 AEDは設置しただけでは実際の人命救助は難しく、スタッフが取り扱いや救急救命について知識を習得しなければならない。つまり、導入においてはハード、ソフト両面での取り組みが必要となる。

 だが、従業員の啓発が進むことで、その従業員が家庭や旅行先などでもその知識を活用し、人命救助ができる。また、こうした意識を持つ人材が他の分野に目を向けることは多く、社会的な活動について面的な広がりを見せることも期待できる。

 社会的活動が「実施して終わり」ではなく、これを通じて社会と結びつくという意識が、パチンコホール全体に浸透しつつあるようだ。