喫煙者と非喫煙者が共存できる空間作り

「現在19・5%の成人喫煙率を2022年までに12%に引き下げる」などを掲げた厚生労働省の「がん対策推進基本計画」が閣議決定し、喫煙を取り巻く環境が厳しさを増している。とはいえ、たばこは嗜好品。喫煙者が自らの責任で、マナーを守って楽しむことに何の問題があるだろうか。

 一方で、企業や団体などは“自主的な”分煙化を進めており、これまで問題視されてきた喫煙者と非喫煙者間のトラブルも減少傾向にあるようだ。これはまさに、社会とたばこが自然に共存しようとしている証し。厚労省が目論む「職場における禁煙または完全分煙の義務化」など実施されなくても、われわれは自らの意思で“共存”を目指しているのである。

 職場の分煙対策も、これまでのように単にパーティションで区切ったり屋外に設置するだけでなく、利便性、快適性を求めて多岐にわたるようになった。その中で最近注目されているのが「虎ノ門タワーズオフィス」(東京都港区)の事例だ。同タワーが2006年に竣工した際の喫煙スペースは、単純に周囲から隔てただけのものだったが。その後、「人を分ける・分けないという概念にとらわれず、幅広い共存を考え、環境的な解決に目を向けたい」というスタンスのもと、喫煙者と非喫煙者が快適に利用できる空間づくりを目指し、昨年11月、地下1階オフィスロビー内にカフェと喫煙スペースが共存するリフレッシュ・スペースを誕生させた。リニューアル工事で新たに喫煙スペースをつくる場合、十分な給排気が確保できないケースも多いが、この事例では高機能空気清浄機など最新の設備システムを積極的に導入。さらにカフェと喫煙スペースの間に前室を設け、煙やニオイの流出をシャットアウトすることに成功している。

 その他、「品川シーサイドフォレスト」(品川区)の既存の植栽を活かした屋外型の喫煙スペースや、「丸の内パークビルディング」(千代田区)の、シチュエーションに応じてスタンディングスペース、ベンチコーナー、テーブルスペース、ソファコーナーが選択・利用できる喫煙室など、さまざまな職場で“共存”のためのスペースづくりが積極的に行われている。