シンガポール:IR導入(カジノ合法化)に関する総括

先日、石原東京都知事がシンガポールのカジノ視察を行っているというニュースをご紹介しましたが、今度は松井大阪府知事に関する報道です。以下、産経ニュースから転載。



大阪府の松井一郎知事は8日午前、世界有数のカジノを持つ統合型リゾートや、国際ハブ(拠点)空港・港湾を視察するため、シンガポールへ向け関西空港を出発した。アジアの都市で競争力を発揮する同国の都市計画や観光戦略を学ぶのが目的。マレーシアも訪れ12日に帰国する予定だ。[...]



当のシンガポールですが、カジノの開業より2年が経過し、そろそろ全容が見えてきた事もあって、IR導入の効果に対する第一弾のレビューが始まっています。シンガポール内務省は7月9日、シンガポールIR導入の効果を以下のように総括し、カジノ管理法の改正に向けた基本方針を発表しました。(以下、木曽による要約)



1)IR導入の目的
IR導入の目的は娯楽とエンターテイメントを国内に充実させ、シンガポール観光の強化を行うことにある。同時に、そこから発生する潜在的社会コストを厳しく管理して行く必要がある。

2)IRの経済的貢献
IRの導入によってMBS空中庭園やRWSユニバーサルスタジオ、各種博物館、有名シェフレストランなど、新たなアトラクションがもたらされた。また、33,500平米を越えるMICE施設と、4,000室を越えるホテル客室も追加された。その結果、2011年のシンガポール観光客数は1,320万人におよび、223億ドルの観光収入を得た。IRはそれら観光振興において、主要なる役割を果たした。

3)IRによる雇用効果
IR導入は、22,000人の直接雇用と、間接雇用まで合わせれば40,000人分の雇用創出に貢献した。

4)観光産業以外への影響
IR導入によって造園、ショー関連、施設整備関連、洗濯、ケータリング、運輸、警備など、様々な需要が発生し、その多くは地元中小企業への利益となっている。

5)治安への影響
2010年、2011年ともに、IR関連で発生した犯罪は全発生犯罪数のうち1%未満となっており、IR導入による治安への大きな影響はみられない。発生した犯罪も、その多くは軽犯罪であり、組織犯罪関連の案件は殆どない。

6)依存症関連
国家依存症委員会(NCPG)によると、シンガポール住民におけるギャンブル依存症(病的賭博)の割合は1%から2%の間と推計され、安定した比率を保っている。しかし、低所得者の病的賭博が増加傾向にあり、IR訪問頻度の高い者の中には、自己抑制力に乏しく、潜在的リスクを抱えている者もみられる。この傾向は、競馬やオンラインゲーミングにも同様に見られている。



現在、シンガポール政府は上記のようなIR導入成果に対する総括を行った上で、犯罪、賭博、社会、経済、税の5分野における統制力強化のために、現行法の改正を計画しています。